虫垂――「無用の長物」は本当か?最新研究が明かすその役割
虫垂とはどんな器官?
虫垂(ちゅうすい)は、大腸の始まりである盲腸から細長く突き出した器官です。長さは5~10cmほど。昔は「盲腸」と呼ばれることもありましたが、正確には盲腸の先にある部分を指します。
虫垂は本当に“役に立たない”のか?
長い間、虫垂は「無用の長物」と考えられてきました。虫垂炎(いわゆる盲腸)を起こしやすいことから、手術で切除されることも珍しくありませんでした。
しかし近年の研究で、虫垂は実は私たちの健康を支える重要な役割を担っていることが明らかになってきました。
虫垂の主な役割
1. 腸内細菌のバランスを保つ
-
虫垂にはリンパ組織が豊富に存在し、腸内細菌のバランス維持に関わっています。
-
特に「IgA」という抗体を作る細胞が集まっており、腸内の善玉菌を守る働きがあります。
-
虫垂は「腸内細菌のリザーバー(貯蔵庫)」として、腸内環境が乱れたときに善玉菌を腸に補給する役目も果たしていると考えられています。
2. 免疫システムの一部
-
虫垂のリンパ組織は、腸の免疫細胞を供給する重要な場所です。
-
虫垂を失ったマウスでは、大腸のIgA産生細胞が減少し、腸内細菌のバランスが崩れることが実験で確認されています。
虫垂と病気の関係
-
虫垂を切除すると、炎症性腸疾患(潰瘍性大腸炎など)や腸管感染症のリスクが高まる可能性が指摘されています。
-
最近では、虫垂とパーキンソン病など他の疾患との関連も研究されていますが、まだ結論は出ていません。
虫垂炎(盲腸)とは?
-
虫垂が細菌感染などで炎症を起こすと「虫垂炎(盲腸)」になります。
-
強い腹痛や発熱が主な症状で、重症化すると手術が必要になることもあります。
まとめ
かつては「役に立たない」と思われていた虫垂ですが、現在では腸内細菌のバランス維持や免疫機能の一端を担う重要な器官であることが分かってきました。
虫垂は単なる“無用の長物”ではなく、私たちの健康を守る「小さな守護者」と言える存在です。
#虫垂 #腸内細菌 #IgA #虫垂炎
コメント